労災のお怪我と治療

当院では、労災についての診療を行っています。労災に関する医療機関である指定を受けていますので、手際よく手続きさせていただけます。
業務中にお怪我をなされた場合は、まず医師の診断を受けることが大切です。お身体にとってもその方が安心ですし、症状と原因の因果関係を明確にしておく上からも早期に受診されることが望ましいといえるのではないでしょうか。

当院では、初診からの診察と治療に対応することはもちろんのこと、退院後のリハビリのみをご希望なされる場合でも、必要に応じ入院先医療機関と連携を取りながらリハビリをサポートしております。
(なお、退院後の治療を希望される場合、紹介状は不要です。)

また、お近くの病院と提携しているため、MRIなどの精密検査が必要な場合であっても、遠くの病院まで足を運ぶことなく検査を受けて頂くことが可能です。

以下、労災制度についてご紹介いたします。

労災は誰が使えるの?

労災は、いわゆる常勤の正社員だけでなく、パート、アルバイトの皆様にも適用があります。労働者であるかどうかの判断は個別に行われるため、ここで一概にお伝えすることはできませんが、賃金をもらって働いていれば、労災で「労働者」と認められる可能性がありますので、専門家にご相談なさると良いでしょう。

労災は、業務上で怪我をなされた場合の他、通勤災害でも適用を受けることができます。この点も意外に知られていない所です。

お怪我の程度は問いません。骨折などの大きな怪我だけでなく、捻挫、打撲等であっても労災適用です。また、よくあるのが仕事中の「ぎっくり腰」です。倉庫作業や保育士、介護職員の皆様がお仕事の最中にぎっくり腰になった場合、労災を使って治療することができます。

労働災害は制度を活用して治療しましょう労災保険の適用を受けると、治療費は全額労災保険負担となるため、窓口で支払をする必要がなくなります。
また、重篤な症状で休業しなければならない場合は、休業の4日目分以降、平均賃金の6割が支払われる他、2割の特別支給金も請求できますので、8割の補償を受けることができます。これが交通事故のように、第三者行為による災害の場合 、加害者から4割の補償を受けることができますので、合計で平均賃金以上の補償が受けられる計算になります。

「労災を使う、使わない」の問題

労災の申請をする際に、よく「事業主が使わせてくれない」という話しを耳にします。
これは、ある意味で日本の会社体質をよく現しているものと思いますが、実際は、事業主が使わせてくれるかどうかは問題になりません。

労災適用になるかどうかを判断するのは労働基準監督署であって、事業主ではありません。申請書類には事業主の証明印が必要な場合もありますが、事業主の印鑑がなくとも労災の届出を行うことは可能です。

今後も会社で働くことを考えれば事業主の理解を得て手続を進めることが望ましくはありますが、事業主が「労災を使う・使わない」を判断するのではないことを知って話しをなさると良いでしょう。

労災を使うことのメリット

そもそも、労災制度は労働基準法に定められた災害補償制度であって、次の六項目が規定されています。

  • 療養補償
  • 休業補償
  • 障害補償
  • 遺族補償
  • 葬祭料
  • 打切補償

このうち、当院では、療養補償、すなわちお怪我についての診断と治療・リハビリについて取り扱うことになります。

労災の療養補償

労災の療養補償では、治療費が全額負担されることになるため、患者様は窓口負担がありません。会計がないので、リハビリのみにお越しになる患者様は、リハビリが終わると、会計で待つことなくそのままお帰り頂けます。

いつまで治療を続けることができるの?

労災で治療を行う場合、いつまで治療が行えるのかという問題があります。
ある程度の期間治療を継続し、相当の期間を経て症状固定することが一般的です。
そのタイミングは「傷病に対して行われる医学上一般的に証人された治療法(以下「療養」という。)をもってしても、その効果が期待し得ない状態であって、かつ、残存する症状が、自然経過によって到達すると認められる最終の状態に達したとき」とされています。

つまり、一般的な治療を継続しても、現状以上の治癒が期待できなくなった段階、と言えるでしょう。

治療を終了した後はどうなるの?

治療を終了する際、後遺症と言える身体の不具合が残存している場合、後遺障害の診断を受け、障害補償給付の申請をするのが一般的です。ちなみに、診断書発行料、いわゆる文書料も患者様の負担はありません。

後遺障害給付の申請様式の後ろが診断書となっており、それを管轄の労働基準監督署に提出します。

交通事故で後遺障害の申請をする場合には、レセプトや診断書を集める必要がありますが、労災の場合は、それは全て労基側でやってくださいます。

後遺障害の申請後、一ヶ月ほどで医師の面談があります。その面談を経て後遺障害診断がなされ、後遺症があると認められれば、障害補償がなされることになります。

後遺障害診断書

労災に障害補償給付申請を行う場合は、所定の様式を提出する必要がありますが、その裏面が後遺障害診断書となっています。後遺障害診断書は、後遺障害の有無を判断する重要な書類です。当院では、診断書で患者様の治療状況が正確に伝えられるよう注意を払いながら詳細な診断書を作成するよう努めております。

症状固定後の治療について

後遺障害の申請をするということは、労災でいう「症状固定」、すなわち、治療を継続しても症状がよくならない段階に来ているということになります。ですので、症状固定日以後の治療は原則どおり患者様がご負担なさることになります。
リハビリであれば、健保を使って継続することについてはご相談に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

症状固定後も治療費が負担されるアフターケア制度

これも知られていないことですが、重篤な後遺障害が残った場合、症状固定後も一定程度の通院費が支給されるアフターケア制度もあります。
アフターケア制度は、当院のように災保険指定医療機関で受診なさる必要があります。詳しい要件は、厚生労働省のホームページでご覧いただくことができます。

まずはお気軽にご相談ください

当院は災保険指定医療機関の指定を受けており、制度に準じて患者様に負担なく治療に専念して頂けるよう努めております。必要に応じ労災制度に関する専門家のご紹介もしており、医師はもちろんのこと、看護師、理学療法士や事務スタッフ他、職員全員で患者様の早期社会復帰を願いながら職務を行っています。
お困りのこと、不安なことなどおありでしたら、お気軽にご相談くださいませ。